公開講座『おしっこが近くて困っていませんか?』
2008.10.20UP
11月末、目黒区医師会館にて泌尿器科医による公開講座が行なわれます。先着100名までの予約制ですが、目黒区民だけでなく近隣の世田谷区民、太田区民の皆様にもご参加いただけます。ご興味のある方はぜひお申し込みください。
なお、私もパネラーとして参加する予定です。
公開講座「おしっこが近くて困っていませんか?」
日時 11月30日(日曜日)午後2時から4時
会場 目黒区医師会館(目黒区鷹番二丁目6番7号)
テーマ おしっこのおはなし女性編、男性編
講師 東邦大学医療センター大橋病院泌尿器科教授 三浦一陽氏ほか
定員 先着100人
『咳エチケット』をご存知ですか?
2008.10.20UP
日に日に気温も下がり、風邪やインフルエンザが気がかりな季節になってきました。このブログでも予防接種のお知らせをしましたが、予防接種に限らず、普段の生活の中で予防対策をしておくことも重要です。
さて、皆さんは『咳エチケット』をご存知ですか? 新型インフルエンザを予防するもっとも初期の対策として、厚生労働相が提案しているものです。
以下に引用します。
「咳エチケット」
*咳・くしゃみの際はティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。
*呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュをすぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。
*咳をしている人にマスクの着用を促す。
マスクはより透過性の低いもの、例えば、医療現場にて使用される「サージカルマスク」が望ましいですが、通常の市販マスクでも咳をしている人のウイルスの拡散をある程度は防ぐ効果があると考えられています。
一方、健常人がマスクを着用しているからといって、ウイルスの吸入を完全に予防できるわけではないことに注意が必要です。
*マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用する。
引用以上です。
これらは新型インフルエンザ以外にも有効ですし、周りに不快感を与えないための一般的なエチケットとしてもぜひ守っておきたいところ。ぜひ、参考になさってみてください。
厚生労働省『結核・感染症に関する情報』
新型インフルエンザ~個人でできる対策
『咳エチケット』以外にもいろいろな対策が載っていますので、ぜひご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/11.html
前立腺癌の新たな治療薬が認可されました
2008.10.07UP
ホルモン剤治療などで進行を抑えられていた前立腺癌が、再び活性化したものを「再燃性前立腺癌」といいます。
この再燃性前立腺癌の治療薬である抗がん剤ドセタキシルが、9月より認可されました。抗がん剤といえば副作用が気になるところですが、今のところ白血球の減少以外、重篤なものは見られていません。
なお、各大学から寄せられた使用成績では、前立腺癌の腫瘍マーカーである「PSA値」を半分以下に減少させたと報告されています。
画期的な、待ちに待った抗がん剤の認可。これは前立腺癌と闘う方々にとって、大変明るいニュースと言っていいでしょう。
高齢者のためのインフルエンザ定期予防接種が始まります
2008.09.25UP
10月1日(水)より 来年1月10日(土)まで、目黒区にお住まいの65歳以上の方、または60~64歳の一部の方を対象に、インフルエンザの予防接種が実施されます。
対象の方には「目黒区インフルエンザ予防接種記録票」が送付されます。
記録票をお持ちのうえ、予防接種の自己負担費用 2,200円を用意して「目黒区インフルエンザ予防接種実施医療機関」へお越しください。
もちろん、当院も実施医療機関に指定されています。
対象者の詳細など、「目黒区インフルエンザ予防接種記録票」の交付方法や交付時期、「目黒区インフルエンザ予防接種実施医療機関」については、下記のリンク先をご参照ください。
大野病院事件の判決に思う~早急に第三者機関の設立を
2008.08.29UP
帝王切開中の出血多量から不幸にも母親の命を救えなかった・・・福島・大野病院で起こった事件に対し、先日、手術を担当した産科医へ無罪の判決が下されました。
今回の症例は"前置胎盤に胎盤癒着が合併する"という、医師でも予測不能なものでした。そしておそらく、その産科医が帝王切開に踏み切ったのは「なんとかしてこの母子を救いたい」という思いからだったのです。激しい癒着を前に、1人で力の限りを尽くし、出血多量と闘った産科医。その強い意志と背負ったプレッシャーたるや、想像に余りあります。
一方で、御遺族が母親の死を悔やみ、その真相を知りたいと願うことはごく当たり前のことです。ましてや医療過誤の可能性があるとなれば、感情的にも抑えきれないものがあることでしょう。
そこで、第三者の冷静な分析や判断が重要になってくるわけです。
医師法21条では、医師は「死体または妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」とされていますが、私は医療の知識の乏しい警察には正しい判断が期待できないと考えます。医師の立場から見れば、今回のような事例で過失致死を問われ、逮捕、起訴に至るなどとは到底あり得ないことです。
舛添厚生労働大臣は、御遺族の意向を受けて「医療事故の原因究明を専門家が行う『医療版事故調査委員会』を早急に設置したい」との意志を表明しました。私も同じように、確かな医療の知識を備えた第三者の手に委ねることが望ましいと考えます。
大野病院事件で医師が逮捕、起訴されたことは、大学の医局が産科を引き揚げるなど、産科や妊婦を取り巻く環境が悪化している現状にも、少なからず影響があるものと思います。
われわれ医療に関わる者は、たとえ最終的に無実が証明されても、逮捕されることそのものが怖いのです。冤罪事件の生んだ大変な不幸に例えれば、お分かりいただけるでしょうか。ですから、先述のような対策がなされない限り、夜間の緊急を頑として断る医療機関があっても、彼らだけを悪く言うことはできないでしょう。
最後に。結果として母親の命を救うことは叶いませんでしたが、産科医はきっと持てるすべての力を尽くしたはずです。皆様にはそれを理解していただきたいと、切に願います。
『病院の言葉を分かりやすくする提案』が進められています
2008.07.11UP
予後、腫瘍マーカー、QOL・・・医師の発する耳慣れない言葉を聞いて、「???」となったことはありませんか?
このたび国立国語研究所が『患者にとって分かりにくい医師の言葉100語』を選びだしました。
来春までに、これらの言葉を言い換えたり、分かりやすく伝えるための指針がまとめられるそうです。2008年7月8日の朝日新聞朝刊でも一面で紹介されていましたので、ご覧になった方もいらっしゃることでしょう。
ちなみに、これらの言葉や調査の結果などは『病院の言葉を分かりやすくする提案』として、ホームページに掲載されています。
こうしてみると、医師が無意識に使っている言葉の中にも、患者さんにとっては分かりにくい言葉がずいぶんあるようです。
もし、診察中やほかのときにでも、気になる言葉、意味の分かりにくい言葉がありましたら遠慮なくお尋ねください。
AERA臨時増刊『日本の家庭医1435人』に当院が紹介されました
2008.06.24UP
6月24日に発売された、雑誌AERAの臨時増刊『日本初!かかりつけ医を探すガイド 日本の家庭医1435人』に、関東地方・東京都の家庭医として当院が紹介されました。
専門医が推奨する「安心できる家庭医」ということで、東京医科大学病院 泌尿器科主任教授の橘 政昭先生よりご推薦いただいたものです。
「かかりつけ医を探すガイド」と銘打たれていますが、単なる開業医リストだけでなく、雑誌AERAにも連載された全国の家庭医の取材レポート、上手な家庭医の見つけ方、安心できる小児科医についてなど、普段から読んでおきたい記事がたくさん掲載されています。
ぜひ一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
当院の待合室にもご用意しておきます。
»『日本初!かかりつけ医を探すガイド 日本の家庭医1435人』
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9510
目黒区の特定健康診査・がん検診がはじまります
2008.05.20UP
6月中旬より、目黒区特定健康診査および各種がん検診がはじまります。
"特定健康診査"とは、生活習慣病予防に必要な検査、および病気の早期発見・早期治療に必要な検査を含めた健康診査です。
当院では、以下の検査を実施します。
特定健康診査
大腸がん検診
肝炎ウイルス検診
胃がんハイリスク検診
肺がん検診
前立腺がん検診
寝たきりなどで来院できない方でも、訪問検診ができる場合がありますので、電話(03-5729-0220)にてお気軽にお問い合わせください。
日本泌尿器科学会が前立腺癌の集団検診を推奨
2008.05.16UP
2008年4月3日、日本泌尿器科学会は前立腺癌の集団検診として普及しつつある『PSA検査』を推奨するガイドラインを発表しました。
これによって、PSA検査を推奨しない厚生労働省研究班と同学会は意見が完全に対立することとなりました。同学会によるこの最新の知見を、今後研究班がいかに捉えるかは、注目に値します。
4月25~27日の日本泌尿器科学会総会で、このガイドラインが紹介されました。引き続き本ブログでも取り扱う予定です。
膀胱癌に関する雑誌記事のご紹介
2008.05.15UP
雑誌『文藝春秋』2008年4月号・5月号に、作家の立花隆氏が 膀胱癌の闘病ドキュメントを寄稿されています。
当院ホームページのコラムでもご紹介している「無症候性肉眼的血尿」によって中期の膀胱癌が見つかった様子が生々しく綴られており、あらためてわずかな体の変調も癌の兆候であり得ることを思い知らされます。
当院にも、この記事を読んだ患者さんが「血尿がある」ということで来院されましたが、やはり膀胱癌が発見されました。
みなさまにも、ぜひご一読をお薦めします。
よくある質問をまとめました
2008.01.11UP
Q:
中学生の息子が急に激しい腹痛を訴え始めましたが、小児科や内科を受診しても原因がまるでわかりません。泌尿器科の病気である可能性はありますか?
A:
乳児期や思春期のお子さんによく見られる「睾丸(精巣)捻転」という症状があります。その名の通り睾丸どうしを繋ぐ部分が捻れてしまうもので、かなり緊急を要する状態です。激痛を伴うだけでなく、処置が遅ければ睾丸が壊死を起こしてしまうのです。
Q:
近ごろ、前立腺癌の罹患率が急増していると聞きました。検査など早期発見できる方法はあるのでしょうか?
A:
血液検査でPSAという腫瘍マーカーを調べることにより、旧来よりもずっと早い段階で前立腺癌を発見できるようになりました。放射線などの治療法も、日々進化を遂げています。
Q:
健康診断で「前立腺肥大症」と診断されたのですが、自覚症状が全くありません。今のうちに治療しておいた方がいいのでしょうか?
A:
前立腺肥大症とひとくちに言っても、その中には治療の必要がないものまで含まれています。ただし、前立腺癌を合併している場合がありますので、前立腺癌の検診は必ず受けておきましょう。
Q:
最近腰痛がひどく、下腹や足の付け根に違和感を覚えます。泌尿器科の病気と関連する可能性はあるでしょうか?
A:
お仕事などで座りっぱなしになることは多くないですか?バイクや自転車に長時間乗ったりしていませんか?身体が冷えやすい環境ではないですか?
それはもしかしたら、慢性前立腺炎かもしれません。
Q:
以前1回だけ血尿が出たことがあるのですが、その後とくに問題なく過ごしています。疲労などが原因で血尿が出ることもあるようですし、1回きりなら心配ないでしょうか?
A:
血尿をともなう病気の深刻さは、回数や頻度で一概に測れるものではありません。1度きりの血尿が悪性腫瘍のサインということも、充分あり得ます。
Q:
小学生の息子が、近ごろ頻繁にトイレに走ったり、それすら間に合わずに漏らしてしまいます。
本人も浮かない様子で「授業中我慢できない・・・」と、この数日学校を休んでいます。
ちなみに、おねしょをすることはありません。親としても理由がわからず、困っています。
A:
お子さんは、「我慢できないから学校へ行かない」のではなく、「学校へ行きたくないからお小水が近くなる」のかもしれません。と言ってもそれは、甘えやウソの訴えでは決してないのです。
Q:
70代の父親について相談です。先日脳硬塞で倒れ、その後は順調に回復していますが、どうも尿が出づらくて困っているようです。これも後遺症の一種でしょうか?
A:
確かに、脳出血や脳硬塞の後遺症として排尿障害がみられることはよくあります。ただしご高齢ということもあり、ほかの原因も十分考えられます。投薬などで改善する場合もありますので、ぜひ一度受診してみてください。
Q:
21歳の大学生です。最近になって、なぜか尿が出づらくなってきました。年齢的なものとは考えにくい気がしますが、何か別の原因があるのでしょうか?
A:
ささいな症状のようですが、軽く見てはいけません。脊髄中の排尿を司る神経に異変がある、つまり脊髄疾患のサインである可能性もあります。
Q:
かなり頻繁に、しかも突然トイレに行きたくなります。いつどこで尿意を感じるか心配で、外出もままならないほどです。これも病気でしょうか?
A:
膀胱に尿がたまっていなくても、尿意を感じてしまう「過活動膀胱」という症状があります。簡単な対策で改善することもありますので、一度医師に相談してみましょう。
Q:
「お小水の我慢し過ぎは膀胱炎になるからよくない」と聞きますが、なぜ膀胱によくないのでしょうか?
A:
お小水を我慢していると、腸内細菌が膀胱の中へ入り込み、繁殖してしまうのです。
Q:
40代主婦です。重いものを持ったり、くしゃみや咳で思わず尿が漏れてしまいます。年齢も年齢なので、あきらめた方がよいのでしょうか?
A:
それは「腹圧性尿失禁」といって、確かに年齢やお産の経験が影響する症状です。しかし、改善することは可能です。
はじめに
2008.01.01UP
いいがやクリニック『気になるメディカルニュース』をご覧いただきありがとうございます。
医療は学術的にも、技術的にも日々驚くべきスピードで進化し続けている分野です。
また、政治や倫理の問題を巻き込んでつねに葛藤を続けている分野でもあります。
その最先端技術、最新情報を日ごろから少しでも意識しているのとしていないのとでは、いざ自分や身近な人の身体に異常が起こった時の心構えも変わってくることでしょう。
この『気になるメディカルニュース』を通して、より多くの皆様が最新の医療情報や関連する情報に触れ、考え、役立ててくださることを切に願います。
なお、いいがやクリニックの専門でもある『泌尿器科』の一般的な知識について、当院のホームページ内にあるコラム『泌尿器科へいらっしゃる前に』で解説しています。
こちらも少しずつ更新しておりますので、ぜひチェックして日々の健康管理にお役立てください。